ヴェルディの代表作の一つである『リゴレット』は、『ナブッコ』『マクベス』など、それまで作られた作品と明確に異なる点があります。
それは、
主人公(リゴレット)と自分を同一視していること。
しかし、同時に、常に自分の上に劇場支配人などの権力者がいることにおいて、
道化(リゴレット)と通じるものも感じていました。
また、かつて権力者によって貞操を支配されていた恋人ストレッポーニの姿を
リゴレットの愛娘ジルダに重ねていました。
当初、ヴェルディはこのオペラの題を「呪い」としようとしていたそうです。
キリスト教社会において、女性の貞操は名誉に直結することであり、それを力で奪った
権力者への怒りが『リゴレット』では表現されています。
ナブッコもマクベスもヴェルディという一人の人間からは遠い存在でした。
しかし、リゴレットでは強く主人公の気持ちに同調しました。
それにより、「悪魔め、鬼め」などのこれまでにない劇的な音楽が生まれたのです。
・・・とまあ、もっともらしく書いておりますが、これはすべてある本の受け売りです。
『ヴェルディのオペラ』 永竹由幸:著
特にオペラを学んでいる人は必読の書だと思います。
オペラ解説書の多くは、内容が薄すぎたり、抽象的な表現に終始するものが多いです。
しかし、永竹由幸さんの本は、作曲家の境遇や時代背景から作品を考察されており、
演奏者として必要な情報が端的に述べられています。
そして、なんといっても読みやすい!笑
教養本として読むだけでも十分に楽しめます。
少しお高いですが、Amazon等で安売りしていたと思います。
特に音楽大学の学生さんたちに読んでいただきたい一冊ですね。