[和訳]
廷臣ども、邪悪で卑劣な奴め、
いくらで俺の娘を売った?
お主らは金さえ儲かればいいのだろうが、
俺の娘は金には変えられない宝なのだ!
娘を返せ!
さもなければ、剣がなくてもこの手はお主らの血でそまることになるぞ、
娘の名誉を守るためなら、この世に恐れることは何もないのた!
その扉を、悪党ども、開けろ!
(リゴレット、扉に駆け寄るが、廷臣たちに阻まれる)
ああ!お主ら…皆、俺の邪魔を…
ああ!もう、泣けてくる…マルッロ…旦那、
優しい魂のあるあんただ、
あんたが教えてくれ、俺の娘をどこに隠した?
あそこか…違うのか…あんたは黙ったままか…ああ、何ということだ!
旦那様方、許してくだされ、どうか慈悲を…
私に娘を返してくだされ、
私には娘がこの世のすべてでございます、
慈悲を、旦那様方、お慈悲を。
マントヴァ公爵に道化として雇われ、公爵の気に入らない者たちを皮肉って笑い物にしていた。
そんなリゴレットにも唯一大切にするものが。それは亡き妻が残した一人娘である。
リゴレットは過剰な愛情から、娘に教会にお祈りに行くこと以外の外出を一切禁じ、誰にも分からないよう家に匿っていた。
それに気付いたリゴレットは自らの失態に後悔し、娘を奪い返すべく公爵の屋敷に駆け込む。
このアリアは、家臣たちに対して「娘を返せ!」と怒りを露わにし、ついには涙ながらに懇願するシーンで歌われる。