私のポルタフォリオ

某音楽系大学を卒業後、府立支援学校教諭に。「継続は力なり」の精神で声楽も地道に続けております。時々奥さんが記事を書くこともあります。

Cortigiani, vil razza, dannata 和訳・解説

[和訳]
廷臣ども、邪悪で卑劣な奴め、
いくらで俺の娘を売った?
お主らは金さえ儲かればいいのだろうが、
俺の娘は金には変えられない宝なのだ!

娘を返せ!
さもなければ、剣がなくてもこの手はお主らの血でそまることになるぞ、
娘の名誉を守るためなら、この世に恐れることは何もないのた!

その扉を、悪党ども、開けろ!
リゴレット、扉に駆け寄るが、廷臣たちに阻まれる)

ああ!お主ら…皆、俺の邪魔を…
ああ!もう、泣けてくる…マルッロ…旦那、
優しい魂のあるあんただ、
あんたが教えてくれ、俺の娘をどこに隠した?
あそこか…違うのか…あんたは黙ったままか…ああ、何ということだ!

旦那様方、許してくだされ、どうか慈悲を…
私に娘を返してくだされ、
私には娘がこの世のすべてでございます、
慈悲を、旦那様方、お慈悲を。


[解説]
リゴレットは背中にコブがある身体障害者
マントヴァ公爵に道化として雇われ、公爵の気に入らない者たちを皮肉って笑い物にしていた。

そんなリゴレットにも唯一大切にするものが。それは亡き妻が残した一人娘である。
リゴレットは過剰な愛情から、娘に教会にお祈りに行くこと以外の外出を一切禁じ、誰にも分からないよう家に匿っていた。

道化として仕えて3ヶ月経ったある日、日頃よりリゴレットに対して恨みをもっていた他の家臣たちがリゴレットの娘を攫い(家臣たちはリゴレットの情婦だと思っていた)、好色な公爵に献上した。
それに気付いたリゴレットは自らの失態に後悔し、娘を奪い返すべく公爵の屋敷に駆け込む。
このアリアは、家臣たちに対して「娘を返せ!」と怒りを露わにし、ついには涙ながらに懇願するシーンで歌われる。