前回は、不安とは本来、危機を察知するためのアラームであること、現代人はその誤作動によって不安アラームが鳴りっぱなしになっていることをお話ししました。
現代人にとって不安の要因になるものとは何でしょう?
代表的なものの一つとして、仕事が挙げられます。
働きたくないけど、生活するためには仕方ない…と思う方もおられるかもしれません。
元々、仕事とは人類にとってどんなものだったのでしょう?
狩猟採集で生活した人たちには「重労働」や「苦役」という概念自体なく、現代人のような仕事に対するストレスはなかったそうです。
なぜなら、狩りや調理・住居づくりなど、生きる上で必要である仕事はすべて遊びの延長にあったからです。
つまり、現代人の人生の大半を占める仕事を遊び化することで、不安アラームを消すことができるのです。
【遊び化に必要な2つの要素】
遊び化するには2つの要素が必要です。
それは「シンプルなルール」と「即時のフィードバック」です。
TVゲームやゲームアプリを思い浮かべてもらうと分かりやすいかと思います。
例えばロールプレイングゲーム。
主人公が敵を倒せばポイントがもらえ、そのポイントが貯まればレベルが上がったり、装備を増やすことができるというシンプルなルール。
レベルが上がったら強くなって、より強い敵キャラを倒すことができるという即時のフィードバック。
私たちがついつい時間を忘れてゲームをしてしまうのも、これらの要素を巧みに取り入れ、人間の脳が喜ぶ仕組みを作り上げているからなのでしょう。
【シンプルなルールを作る】
さて、本書では仕事を遊び化するための方法が大きく3つ紹介されています。
①仕事時間と休憩の間隔を一定にする
・[50分仕事→10分休憩][25分仕事→5分休憩]など、一定のリズムを決めて働く
・区切りを作ることで未来との心理的距離が縮まる
②下位プロジェクトを洗い出す
・一つのプロジェクトに必要な下位プロジェクトを考え、一覧にする
・1日に莫大な量のプロジェクトを計画しないよう注意
③イブセン・プランニング
・「Xの時、Yをする」と実行するタイミングを構造化する
(ex.)土曜日の夜にジョギングする
・行動するための心理的ハードルを減らす
私はどのテクニックも実践していますが、とても効果を感じています。
時間がたっぷりある時ほど、やりたいことが進まないという経験はありませんか?
私はそういうことがよくあるのですが、①の方法で時間を刻むようになってから以前より上手く時間が使えるようになりました。
また、②のテクニックを使い、一つのプロジェクトを完了させるために必要なタスクを書き出すだけで、「忙しくなりそうだな…」と漠然と感じていた不安感が払しょくされます。意外と大したことないな、と気づくことが多いです。
③のテクニックは自分で決めたタスクを習慣化するためにとても役立ちます。
【即時のフィードバック】
「即時」というところがポイントです。
仕事の成果[フィードバック]は必ずしもすぐに得られるものではありません。
すぐにフィードバックを得るためにはどうすればいいか。
それは「記録をとること」です。
タスクをこなせたらカレンダーに〇をつける、という簡単なものでも効果があり、人生の幸福度が上がります。
先日、シーツ・浴衣等のクリーニング工場に行くと、作業員一人ひとりの目線の上に数字を表示する電光掲示板がありました。
上側:個人の作業個数/1時間
下側:作業個数の最高記録/1時間辺り
工場の責任者に伺うと、この表示を取り入れてから作業員全体のスピードが格段に上がったそうです。
まさに、即時のフィードバックがプラスに働いたのだと思いました。
余裕があれば、取り組んだ仕事を時間単位で区切って記録をつけると、より達成感を感じることができるでしょう。
(ex.)9:00 - 10:30 ブログ記事
10:30 - 12:00 歌の練習
いかがでしょうか。
どれもそれほどハードルの高くない取り組みですが、効果は絶大ですよ!
是非試してみてくださいね。