私のポルタフォリオ

某音楽系大学を卒業後、府立支援学校教諭に。「継続は力なり」の精神で声楽も地道に続けております。時々奥さんが記事を書くこともあります。

『約束のネバーランド』15巻レビュー

ノーマンは鬼の王家と5摂家を倒すため、元貴族ギーラン家と同盟を結びます。

ギーラン家は700年前、現政権の策略によって野良落ちの刑(人間を食べることを禁じられ、下等な野生鬼にされる刑)に処され、追放された過去があり、現政権に根深い恨みを持っています。

両者は「全食用児の解放と自治」と「ギーラン家にラートリー家と農場設備を譲渡すること」を条件に同盟を結むものの、互いに約束を守るつもりはありません。

ギーラン家は作戦が成就した暁には、極上品であるノーマンの肉を食らうことを切望しています。

一方のノーマンは現政権とギーラン家の共倒れを狙っており、「化かし合いなら僕は負けない」と自信をのぞかせます。

 

そんなノーマンに一つ誤算がありました。

それはエマから聞かされた、ムジカとソンジュの存在です。

 

昔、人を食べなくても人の形質と知能を維持できる"邪血の少女"と呼ばれる特異体質をもつ鬼がいました。

しかも、彼女らの血を一口飲むだけで他の鬼も同じ体質を手に入れることができたのです。

王家・5摂家は彼女らの能力が自分たちの統治の妨げになると考え、全員を捕えて食い殺してしまいました。(故に、現政権の鬼も邪血の少女と同じ体質を手に入れています)

 

その邪血の少女の生き残りがムジカとソンジュなのです。

食用児たちの反乱に気付いた二人がどのような行動に出るかを不安視したノーマンは「探し出して殺さないと」と言います。

(この時のノーマンの表情はなかなか迫力あります)

 

当然、エマは猛反対。

「友達を殺さなきゃ生きられない未来なら私はきっと笑えない」

 

エマは鬼を絶滅させるのでなく、すべての鬼を王家・5摂家の血で人を食べなくても退化しないようにしてから、全食用児で人間界で渡ることを決意します。

そして鬼のリーダーに会って約束を結び直すべく、レイとともに"七つの壁"へ旅立ちます。

果たして、ノーマンの作戦が決行されるまでに間に合うでしょうか?!

 

というところで、15巻は終了です。

理想を追求して突き進むエマと、最も大切なものを守るために最善を尽くすノーマン。

G.F.脱出時と変わらぬ一貫性が見事です。

また、人と鬼との殺し合いによる憎しみの連鎖は、実社会で人間が抱え続けている永遠のテーマですよね。

ラムダ出身の食用児達の気持ちを考えると、やり返すのは間違っているとは簡単には言えない難しさを感じました。